The Elder Scrolls

The Elder Scrolls シリーズ：自由と冒険のハイファンタジー世界

The Elder Scrolls（ジ・エルダー・スクロールズ、略称TES）シリーズは、ベセスダ・ゲーム・スタジオが開発、ベセスダ・ソフトワークスが販売する、高い人気を誇るコンピューターRPGシリーズです。シリーズ最大の特徴は、広大なオープンワールドでプレイヤーが自由に冒険できる点にあります。特に2002年に発売された第3作『Morrowind』は高い評価を獲得し、続く『Oblivion』（2006年）、『Skyrim』（2011年）も数々のゲーム・オブ・ザ・イヤー（GOTY）を受賞するなど、高い人気を誇る作品群となりました。

シリーズの世界観：タムリエル大陸

シリーズの舞台となるのは、架空のファンタジー世界「タムリエル大陸」です。中世ヨーロッパを思わせるハイファンタジーの世界観は、ローマ帝国のような強力な帝国の存在や、限られた機械技術、魔法の普及、そして多様な神話的生物といった要素が融合しています。

タムリエル大陸には、人間以外にもエルフ、オーク、そしてネコやトカゲのような特徴を持つ人型種族が共存し、いくつかの地方に分かれています。シリーズを通して共通するテーマは、「選ばれた英雄が迫り来る脅威を救うため立ち上がる」というもので、これは様々な形で物語に反映されています。

シリーズタイトルにもなっている「エルダースクロール」（日本語版では「星霜の書」）は、タムリエルの過去・現在・未来がすべて記された、神秘的な書物です。この書物は物語の重要な鍵となるアイテムであり、シリーズ作品全体を通して重要な役割を果たしています。

1994年の第1作『Arena』から始まり、2011年の『Skyrim』まで、メインタイトルは5作品がリリースされました。これ以外にも、拡張版やスピンオフ作品が数多く制作され、2014年にはオンライン版『The Elder Scrolls Online』もリリースされています。

ゲーム内容：ロールプレイングと自由度の高い冒険

The Elder Scrollsシリーズは、アクションRPGでありながら、アドベンチャーゲームの要素も強く含んでいます。初期の作品では、敵を倒して経験値を獲得しレベルアップしていくシステムでしたが、『Daggerfall』以降はスキルツリー方式が採用され、プレイヤーは自身のプレイスタイルに合わせてスキルを育成していくことができます。『Skyrim』では、スキルのレベルアップがプレイヤーのレベルアップにも繋がる、独自のシステムが導入されました。これにより、プレイヤーはキャラクターの作成から成長、そして役割を演じるロールプレイングまで、自由度の高いゲーム体験を楽しむことができます。

また、シリーズはゲームエンジンの拡張性に優れており、専用開発ソフト『The Elder Scrolls Construction Set』（CS）を用いたMOD開発が容易に行えます。これは、プレイヤーコミュニティによる活発なMOD開発を促し、シリーズの長期的な人気を支える大きな要因となっています。

ゲームメディア『Joystiq』は、ベセスダとバイオウェアを比較し、ベセスダは「美しい表現と自由な冒険」に、バイオウェアは「戦闘システムとモジュール式のアーキテクチャ」に焦点を当てていると分析しています。この指摘は、The Elder Scrollsシリーズが他のRPGとは異なるゲーム体験を提供していることを示しています。

シリーズの歴史：小さな会社からの挑戦と進化

ベセスダ・ゲーム・スタジオは1986年の設立当初、主にスポーツゲームやアクションゲームを開発していました。しかし、『Arena』の開発を機に、RPG開発へと大きく舵を切ります。当時のRPG開発の第一人者から笑われたという逸話も残されています。

第1作『Arena』：RPGへの転身

『Arena』は当初、剣闘士がアリーナで闘うゲームとして企画されましたが、開発段階でRPG要素が追加され、最終的にはダンジョン探索とクエストに焦点を当てた本格的なRPGとしてリリースされました。シリーズ名である「The Elder Scrolls」もこの作品で初めて使用され、後にゲーム世界に重要な意味を持つアイテムとして登場することになります。

第2作『Daggerfall』：広大な世界と進化したシステム

『Daggerfall』では、前作のシステムを改良し、ロールプレイングに重点を置いた成長システムや、独自のスキル割当が可能なキャラクター生成システムが導入されました。また、自動生成された広大なマップは、イギリスとほぼ同じ大きさという、当時としては驚異的なスケールを誇りました。

スピンオフ作品：BattlespireとRedguard

『Daggerfall』の後、ベセスダは『Morrowind』と並行して、『Battlespire』と『Redguard』の2つのスピンオフ作品を開発しました。これらはメインシリーズとは異なるゲーム性を持つ作品であり、評価は賛否両論でした。

第3作『Morrowind』：新たなエンジンと世界

『Morrowind』では、新たなゲームエンジンGamebryoを採用し、オブジェクトの手作業による配置など、開発手法も大きく変化しました。また、専用開発ソフト『Construction Set』の開発にも力を入れた結果、開発効率の向上とゲームバランスの調整が容易になりました。

第4作『Oblivion』：進化したグラフィックとストーリー

『Oblivion』は、より洗練されたグラフィック、改善されたAI、そしてより複雑で緊密なストーリーが特徴です。プロシージャルコンテンツ生成ツールの導入により、複雑な地形も効率的に作成することが可能になりました。

第5作『Skyrim』：シリーズの頂点

『Skyrim』は、シリーズの最新作として、高い評価を獲得しました。スカンジナビアを思わせるスカイリム地方を舞台に、プレイヤーはドラゴンボーンとして、世界の危機に立ち向かいます。

オンライン版『The Elder Scrolls Online』

2014年には、シリーズ初のオンライン版『The Elder Scrolls Online』がリリースされました。この作品は、これまでのシリーズとは異なる時代設定と、複数の地方を舞台とした広大な世界観が魅力です。

その他の作品

スマートフォン向け作品『Blades』や、『Castles』などもリリースされています。

今後の展開

2018年のE3で、シリーズ最新作『VI』の開発準備が発表されています。今後の展開に期待が高まります。

世界設定：詳細な設定と解釈の自由

The Elder Scrollsの世界設定は、現実世界の文化的要素を元に構築された、緻密で奥深いハイファンタジーの世界です。定番の人間、エルフ、オークに加え、アルゴニアン、カジートといったユニークな種族が存在し、高度な機械文明を築いていたドゥーマーという滅びた種族も存在します。魔法や神話的な生き物、そして様々な派閥が絡み合う政治情勢なども特徴です。

シリーズの特徴として、豊富な伝承や背景設定が挙げられます。しかし、ゲーム内には全知全能の語り手は存在せず、伝承はあくまでゲーム世界の住人によって記述されたものであり、偏見や憶測が含まれている可能性があります。そのため、プレイヤーは自分自身の解釈で世界を理解していくことが推奨されており、ファンコミュニティによる史学研究のような活動も盛んです。

また、意図的な矛盾や曖昧な設定も存在し、これらは魔法のパラドックスやマルチエンディングによって説明されることもあります。プレイヤーは、予言された英雄として振る舞うことも、それを否定することも可能です。こうした設定は、プレイヤーに自由なロールプレイングを提供しています。

タムリエル大陸は、9つの地方から構成され、それぞれの地方には特徴的な種族が住んでいます。シリーズの物語は、主にシロディール帝国時代、特にユリエル・セプティム7世の治世を舞台としています。

シリーズとプラットフォーム

The Elder Scrollsシリーズは、様々なプラットフォームでリリースされており、その歴史はMS-DOSから最新のゲーム機、スマートフォンまで多岐に渡ります。小説などのメディアミックスも展開されています。

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